塾の経営者の視点では、少子化は最大の敵であり、実際全国の塾の生徒数は減少の一途をたどっています。今後も減少が止まることは想像し辛く、2060年には母数が半減すると算出されています。元々塾はいじめ問題が話題となったり、ゆとり教育が批判されたりする中で、私学の名門校への入学を希望する家庭が増え、生徒数は増加傾向にありました。それが近年に入って一気に逆転し、減少し始めたのです。塾業界にとっては色々な手段を講じて生徒数を確保することが課題ですが、その一つが優秀な講師の採用です。大手であろうが個人塾であろうが、人気のある講師を目当てに入塾してくる子どもは少なからず存在します。経営者としては人気のある講師を塾に馴染ませる努力が必要ですし、待遇もそれなりのものを用意しなければなりません。
塾業界はこれといった参入障壁が存在しませんから、個人塾の開業は至る所で発生しています。個人塾の数は大変多く、競争は激化しています。このままでは少子化の影響で共倒れし兼ねませんが、個人塾が取れる対応は限られており、業界再編の動きは大手を中心に起こっています。典型例はM&Aでしょう。有名塾同士が提携するケースも多く、事業の幅は広がり、多様化しています。この結果、大手の想定顧客は流動化し、年齢や指導形態、通信教育の有無といった業態が特色とならない時代が到来しています。大手であれば、ほとんどのニーズに応えられるわけです。