大手教育出版社と有名塾が業務提携

既に常態化している「少子化」に輪をかけるような景気後退で、塾業界も他業種で盛んに行われているM&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)で生き残りをかけた模索が続いているようです。多くは、大学受験を対象としていた大手予備校と中学受験を主な対象とする名門塾とが買収や合併でタッグを組むことにより私的教育機関の勢力図が書き換えられようとしています。更に、大手教育関連出版社までもが塾と業務提携することで、お互いがもつノウハウの相乗効果を狙った取り組みも行われるようになってきました。予備校と塾の合体は、同じような業態であるにも関わらず、その対象とする年齢層が重ならないためある意味「すみ分け」がなされたまま企業を一つにすることで、いわば対象年齢層の拡大を狙ったものと言えるでしょう。このような正攻法ともいえるM&Aに対し、教育関連出版社と塾の統合は、もともと広い年齢層を対象とする出版社に対し、限定的な年齢層と向き合っていた塾のノウハウを受けることで施策の厚みを増していこうという狙いも考えられた提携ともいえるのではないでしょうか。その他大手に限らず、厳しい時期を乗り越えるべく塾業界では資本や業務の提携を行うことで生き残りをかけた取り組みが続いています。まさに群雄割拠という言葉がふさわしいような状況ですが、ただこれは食うか食われるかではなく、共存共栄というお互いに利ありという構図で生まれていくのが唯一救いと言えるのかもしれません。